こんにちは!よしです。
意外と思われるかも知れませんが、スクーバダイビングの事故の大半が水面で起きていると言われています。
例えば、水面をスノーケリングで移動し、潜降ポイントにてスノーケルからレギュレーターに取り換える際、レギュレーターを確保できずに海水を誤飲して意識を喪失したという事例があったそうです。この場合、レギュレーターリカバリーとクリア、スノーケルとレギュレーター交換という2つの基本スキルを正しく行えばこの事故は防げたはずです。
レギュレーターは右側にありますから、まず右肩を下げるとレギュレーターのホースがぶら下がった状態となり、ホースと自分の体の間に空間ができます。そして右肩を下げた状態を保って右腕を手前から大きく旋回させて太ももを触り、後部のタンクを触ってそのまま右腕を水平に手前に移動してゆけば、右腕でホースを確保できます。ホースを手繰り寄せればセカンドステージをつかむことができます。次に顔を水面につけた状態でセカンドステージを口元までもってゆき、スノーケルを外してレギュレーターのマウスピースをくわえ、息を吹くかパージボタンを押してレギュレーター内の水をクリアすれば良いのです。
オープンウォーター講習で行った基本スキルですから、忘れてしまった方はもう一度テキストを読み返して復習しましょう。そしてスキルに心配があれば、プールや浅瀬で何度も練習してみて下さい。
さて、その他にもファンダイビング等でよく見かける正しくない習慣を以下にまとめてみました。
1 水面 (Surface)
本当によくありがちな正しくない水面習慣
シュノーケルを付けない。
→ファンダイビングなどで水面待機や水面移動が長くなると疲れたり、波酔いするダイバーが多くなるので、ガイドはなるべく水面にいる時間が短くなるように計画し、ボートキャプテンともコミュニケーションを取ります。そのためファンダイビングでシュノーケルを使う頻度が高くないことや顔の近くにぶら下がっているシュノーケルが煩わしく感じるなどの理由で付けないダイバーを見かけます。
もし波が高い、悪天候、同じダイブサイトにたくさんのボートが待機などの理由でボートのピックアップが遅れれば、シュノーケルを使用して水面でタンクのエアをセーブできますし、残圧を心配せず落ち着いて水面待機できます。
水面浮上後、すぐにマスク、シュノーケル&レギュレーターを外す。
→ファンダイビングが終わって水面に浮上し、BCDの浮力を確保するところまではほとんどのダイバーが心得ています。しかしながら、その後すぐにマスク、シュノーケル&レギュレーターを外しておしゃべりするダイバーをよく見かけます。海の水面は穏やかなことばかりで
はありません。波が大きかったり、急に近くに現れたスピードボートの影響で突然大波が来たり、流れが速い場合など、しっかりと呼吸源を確保しておかないと海水を誤飲して溺れる可能性があります。普段から習慣づけておけば、それらのトラブルは回避できます。おしゃべりはボートの上に戻ってからにしましょう。
マスクを目の位置から外しておでこに付ける。
→マスクをおでこの位置に付けて水面にいると、波が来た時に簡単にマスクが頭から外れてしまいます。マスクは正しい位置に付けるか首からぶら下げてなくさないように配慮しましょう。
ボートダイビングのエキジットの際、ハシゴやロープに捕まる前にフリーの状態でフィンを外す。
→大勢でボートダイビングした際、エキジットを待つ間、ボートの近くで何も捕まらずにフリーの状態でフィンを外すダイバーを見かけます。せっかちなダイバーに多いのですが、フィンがない状態ではほとんど自力で泳ぎ進むのは難しいですから、万が一ボートから離れてしまった時にとても大変です。また、ダイバーがハシゴを登っているときは、次のダイバーはハシゴの下にいるべきではありません。足を滑らせて落ちてくる可能性もあります。一人ひとり安全確実にエキジットしましょう。
本当によくありがちな正しくない潜降
姿勢を水平にしたままBCDを排気しようとするが、空気が抜けずにもたつく。
→潜降時の姿勢はフィートファースト(足先)で直立姿勢が耳抜きしやすく、インフレーターホースからの排気もスムーズです。
耳抜きを忘れるもしくは耳抜きのタイミングが遅い。
→耳抜きはこまめに行いましょう。一般的に1メートル毎にと言われていますが、水面から約5メートル下くらいまでは、もっと細かいスパンで行ってもいいですよ。耳に不快感が生じてからでは、タイミングとしては遅いです。
無理やりなヘッドファースト潜降。
→一本目のチェックダイブの際、ウエイトが不足していて無理にヘッドファーストで強くフィンキックしながら潜ろうとするダイバーを見かけます。ヘッドファーストは慣れていないと耳抜きがしずらく、他のダイバーと同じスピードで潜降するのが難しくなります。潮流が速いドリフトダイビングなど、ヘッドファーストが必要なエントリー以外はフィートファーストでバディコンタクトを取りながら安全に潜降しましょう。ウエイトが足りなければ、ガイドかボートクルーから不足分を受け取りましょう。
本当によくありがちな正しくない浮上
浮上を始めるとき、BCDに空気を入れて急浮上。
→浮上を始める際に、インフレーターホースを持ち上げますが、これは浮上中にBCD内の空気が膨張して浮上速度が速くならないよう、いつでもスムーズに排気できるようにするためです。水面に到達したらインフレーターボタンを押して浮力を確保します。
安全停止後の浮上スピードが速い。
→安全停止後、5m付近から水面に到達するまでのスピードをゆっくりすることも減圧症を発症するリスクを抑える効果があるようです。急浮上することはできるだけ避けましょう。
これらの正しくない習慣は、5ポイント法を心得ておけば改善することができます。
5ポイント潜降、5ポイント浮上共に、それぞれのアクションの頭文字をとって世界中で次のように知られています。
5ポイント潜降
SORTED (ソルテッド)
S: Signal (合図) バディ同士、潜る準備ができたかどうか確認の合図を出します。
O: Orientation (位置と方向の確認) 周囲を確認して動かないランドマーク等チェックしたら、水底も確認します。
R: Regulator (レギュレーター) スノーケルからレギュレーターに交換します。
T: Time (時間) エントリー時間とダイブコンピューターのスイッチが入っているか確認します。
E/D: Equalize/Descent (耳抜きと潜降) BCDの空気を抜いて潜降します。耳抜きも忘れずに!
5ポイント浮上
STELA (ステラ)
S: Signal (合図) バディ同士、浮上の確認の合図を出します。
T: Time (時間) コンピューターで浮上時間を確認します。
E: Elevate (持ち上げる) インフレーターホースを持ち上げます。
L: Look up (見上げる) 頭上に障害物等ないか確認します。
A: Ascent (浮上) 右手を水面に掲げ、左手でインフレーターホースを持ち上げたまま、ゆっくりと浮上します
2 OKサイン (OK sign)
正しい水面習慣を身につけ、事故を未然に防ぎ、安全第一でダイビングを楽しみましょう!