海の中で何が一番怖いか?
危険生物…
もちろんなのですが、基本的にそういう生き物がいるところで潜らないので気にする必要がないです。
紫外線…
確かに僕は、このおかげで白内障になりましたが、命を脅かすほどのものではないですし、日焼けからは、保護することができるし、気を付けることはあっても怖がる必要ないですね。
強風大波…
そんな日は、ボートが出ないので、ダイバーは、怖がる前に中止になってしまう。
では何か??
それは、流れです!
なぜ認識が低いのか?
流れのイメージは、穏やか
身近な水の流れというと川や流れるプールを連想して、穏やかなイメージに危険性を感じずらい。
でも、川をさかのぼれるほど人間は、泳ぎが堪能ではないですよね。
流れは、目に見えにくい
多少流されていてもそれを危険とは感じられない。 人の歩くスピードは、時速4~5kmだから、そのくらいのスピードで景色が流れていても精神的な恐怖は、感じないんじゃないかな?
でも、このスピードで1時間流されると水平線を超えてしまうほどの距離なんですよ。
流れの向きは一定ではないし、流れの境も見えない
水面で見える水の動きで、ある程度その時の流れは確認できても、地形や潮の満ち引きによって、場所、時間で流れの向きが変わるときがある。 潜っている時間内ずっと同じ方向に同じスピードで流されるとは限らない。
そんなわけで、
今回紹介するスペシャルティコースは?
ドリフトダイバー
流れている海の中でも安全にダイビングするテクニックを知っておくと余裕をもって楽しむことができます。安全にダイビングするためには、その危険性を知ったうえで、回避する方法を知っておくことが重要です。
ドリフトダイビングのいいところ
・ あまり泳がずに流れに乗って移動できる
・ 広い範囲を見ることができる
・ 流れのある場所を好む生き物が見られる
ダイブサイトの上級者コース
上級ダイブサイトに位置付けられている場所の中には、流れが強いところが多くあります。
流れは、速いほどより高度な技術が必要になります。 他のスポーツに例えるなら、
スキー : コースと傾斜角度
サーフィン : 波の大きさと強さ
流れを見極めるには、長年の経験とその場所を熟知しなければならない超専門分野です。 そこを理解しておかないとどんなに経験豊富なダイバーでも、いつの間にか自分の限界を超える状況に陥ってしまう危険性があります。
誰もが自転車に乗っている時、下り坂では、より周りを確認しながらいつでもブレーキがかけられるように準備をしていると思います。ダイビングで流れに乗るときも同じように考えるると分かりやすいかもしれないですね。
と、いうわけで…
ドリフトダイブで最も重要なルールは?
ガイドの指示が確認できる位置とバディーシステム
安全にダイブするには、経験豊富なガイドの後ろについていつでも支持が確認できるようにすることが大事です。 一緒にダイビングしているチームが、小さくまとまっていないと、同じ流れに乗れずに位置を。 海の流れは、常に同じ速さおよび同じ方法ではありません。 ガイドの指示受けた時に早い対応を求められる可能性があります。 早い流れの場合、そういった緊張感が更に増すので、ガイドの指示を意識しながらダイビングする必要が強く求められます。
その他、ドリフトダイビングで考慮する危険性と対処方法
【危険性】 どこに流されるのか?どこでピックアップしてもらうのか?
【対処方法】 ダイブプランとコミュニケーション
・ エントリー前にカレントチェックをして方向と早さを確認してダイブプラン立てて、ボートスタッフと確認しておく。
【危険性】 ボートからエントリー方法は?
【対処方法】 ポジティブORネガティブ
・ 流れの速さとダイブエリアを限定したい場合によく使われるネガティブエントリー
・ ボートからロープを流して全員エントリーするのを待って同時に潜行するポジティブエントリー
【危険性】 流れの向きが変わったら?
【対処方法】 続けるOR止める
・ 流れに合わせて進行方向を変える(ボートスタッフの待機位置を考慮したうえで、見つかるところで上がれるようにダイビングを終了する。
・ 流れの様子を見て、ダイビングを終了する。
・ 緩やかな流れであれば、流れに逆らって息が上がらないようゆっくりとボートにピックアップしてもらう方向に向かって泳ぐ。
【危険性】 予想よりも早い流れの時に考えるべきことは?
【対処方法】 距離と時間
・ 目印となる最遠端のものを確認してダイビングを終了する。
・ 予測した時間内にダイビングを終了する。
・ 流れの向きが変わったと感じたら、速やかに終了する。
【危険性】 予測できない流れに乗ってしまったら?
【対処方法】 視標物で位置の確認(泡、地形、深度計)
・ ダウンカレントに飲まれて深場に吸い込まれないよう、BCDの空気を足して浮力を補い、浮上速度をダイブコンピューターもしくは、深度計で確認をしながら浮上する。 必要ならば、ウェイトベルトを捨てる。
・ ガイドとはぐれてしまったらその場で安全停止をせずにゆっくり浮上してダイビングを終了する。
安全停止をしているうちに見つけられないところまで流される危険性があります。また、強いダウンカレントに引き込まれないように安全停止は、しないほうがいい場合があります。
・ 水底もしくは壁が、近ければどこかにつかまり、一度気持ちを落ち着かせて対処方法考えましょう。 息が上がらないようにしてください。
コースの達成条件
ダイブ1
● バディと一緒に、環境、その場の状況、深度、その他の要因に適したテクニックからなるドリフト・ダイブを計画する。
● 環境状態および計画したドリフトのテクニックに適したエントリーをする。
● その場のコンディションに適した方法で、計画した通りにバディ・コンタクトを維持する。
● 中性浮力を維持し、生物や水底と不注意による接触を避ける。
● 深度5メートル/15フィートで少なくとも3分間の安全停止を行なう。
● その場のコンディションに適した方法で、計画した通りにエキ ジットする。
ダイブ2
● その環境コンディションに合ったエントリーをし、ドリフト・ダイビングのプランを立てる。
● その環境コンディション・ダイブ・プランに合ったバディ・コンタクトを維持する。
● 無意識に水底に触れてダメージを与えないように、ドリフト・ダイビング中は中性浮力を維持する。
● ダイビング中、ドリフトする方向を見極め、潮のおよその強さを判断する。
● 1分間18メートルの速度を超えないように、注意して浮上する。
● ドリフト・ダイビング終了時に、目標ラインに直接触れずに水深5メートルで最小限3分間の安全停止をする。
● その環境コンディションに合ったエキジットをする。
ダイビング中、潮の流れを確認するのに見やすいもの
魚の頭の向き
サンゴに寄生する魚は、その場所を維持するために流れに逆らって泳ぎます。
ソフトコーラル、海藻
流れに沿ってなびくのでわかりやすい
浮遊物
チリ、ゴミ、プランクトンなど流れに乗って動いている物を探す
泡
ダイバーの吐いた泡が、流れる方向
流れの違う3スポット
中水層
『早い』 流れをダイレクトに受ける
水底付近
『遅い』 水底の構成物によって流れが緩和される
大きな水底の構成物の後ろ
『回避』 陸で風を凌ぐのと同じ理屈です
ドリフトダイビングで持っておきたい器材
水面シグナルツール : シグナルフロートと笛
水中シグナルツール : シェイカー、タンクバンガー、指し棒
器材を流線形に保つ道具 : フック、カラビナなど
上級ダイバーとして
水面に上がってからボートに発見してもらえるようにすることが大事です。
そのための器材を個人で持っていれば、万が一にロストして水面に上がっても見つけてもらいやすいという安心感を得られます。 ガイドが持っているから大丈夫ではなく、ガイドがいなくても大丈夫と言えるだけの器材を準備できるのも、上級ダイバーの心構えと言えるでしょう。
※注意
カレントフックやグローブは、ひっかける場所を選ばないとサンゴをはじめ海洋生物にダメージを与えるてしまいます。 そのため、国や地域によって禁止されています。 これらの器材は、なくてもできる技術と知識を知っておくといいですよ。
中性浮力を取って流線形を保つことも重要です。
これをきっちりやるだけで、流れの影響を受けにくくなるので楽におよくことができ、かなり体力の消費を抑えることができます。
前回紹介したピークパフォーマンス・ボイヤンシー・スペシャルティコースに参加して習得しておくことをお勧めいたします。
ハイ。 ドリフトダイビングについて話をしました。
コースとしての達成条件は、それほど多くはありませんが、潜る前に流れに対して理解を深め、流れに伴うダイビング方法を、実際に確認をすることが大事です。
万が一にロストしても一人で安全に水面に上がれるイメージをつかめるようにすることで大きな自信につながると思います。
そのために必要な器材を準備しておくこともダイビングを安全に楽しむことができる上級ダイバーの心構えです。
ご愛読ありがとうございました。